7日目。6時起床。晴れ。釣り人の声で目が覚める。
いつもの通り食事をし、お茶で一服する。使用後の食器は、持参したトイレットペーパーで、丹念に油をふき取る。インスタントラーメン程度の汚れならば、これで十分にきれいになる。
昨晩で連続4日間、合計5日間の野宿を体験した。この経験は北海道の旅でも大きく役に立つだろう。しかし、野宿旅も7日目ともなると体力をかなり消耗する。荷物の重さや、思わぬ日焼け、コンタクトレンズもかなり汚れ、目もかすむ。多少弱気だが、早く宿で休憩したいのが今の心境だ。
今日の移動は、宿のチェックイン時間から逆算して、10時スタートとする。それまで周りの様子を観察し、時間をつぶすことにする。強い日差しの中、腕だけでも日に焼けないように、長袖の上着を着る。朝早くからキャンパーが集まるのは、場所取りが理由らしい。この岩場の限られた芝生、砂地に次々と簡易テント、ビーチパラソルが立っていく。
移動時間が近づいたので、ゆっくりとテント及び、荷物をバックパックに詰め始める。ロッジ・テントの夫婦に一言挨拶をし、3日間世話になった海岸に別れを告げ、ゆっくりとした足どりで路を下る。次に来るのはいつになるだろうか。11時、例の食堂で少し早い昼食とする。ここでも、馴染みの客となってしまった。食後、女将さん、親父さんに挨拶をし、先へ進む。
今日はまず、徒歩で城ケ島を出て、約2km先の「宮川公園」に行く。そこからバスをひろい、剣崎の民宿「きしろ荘」に宿泊する予定である。「宮川公園」は手元の「ぴあ」によると、2基の風車は三浦市が風力発電の研究用に設置したもので、地元では「風の丘」と呼ばれ親しまれているそうである。風車は、今日まで野宿していた城ケ島からも、はっきりと見えていた。
民宿「きしろ荘」は葉山の宿に続き、2回目の宿となる。インターネットの検索でホームページにたどり着き、2週間前に予約を入れた。家庭的なサービスと、静かな海と緑を売りにしている。地図上では、「きしろ荘」から剣崎灯台までは1kmほどの距離のようだ。
食堂を出て、フリースのポケットにしまい込んでいたビールを取り出す。ぬるいビールを口にしながら、風車を目印に、県道を進む。途中で見る鯉のぼりに、今日がこどもの日であることを思い出す。あいにく、公園に続く近道の橋は工事中で、遠回りをすることとなった。風車がそこまで見えているのにじれったい。
13時頃、宮川公園に到着。公園はあまり広くないが、学生らしき若者達が、テントを張り、バーベキューをしていた。こちらはフリースから露出した、焼けた肌を休ませるため、コテージの下で休憩をとる。肌で感じる風はそれほど強くはないが、風車は勢いよく回転している。風車には、夜間のライトアップのための、大型ライトも常設されている。昨夜も城ケ島のテントから、はっきりと見ることができた。
1時間ほどの休憩後、先に進む。すぐにバス停を見つけたが、1時間に1本のローカル線であった。このころから「剱崎灯台」が見え隠れしていたので、徒歩で移動する決心はついていた。 また酒屋を見つけ、ビールを購入する。多少足し取りも軽くなり、歩くペースも早くなる。珍しい風景を見つけは、首から下げたデジタルカメラでパチリ、パチリと写真を撮る。
約10km徒歩で移動し、16時、民宿「きしろ荘」にたどり着く。部屋に案内され、一服したあと、早速、数日分の、たまったWebページデータのアップロードの準備をする。ここは完璧なふすま民宿であった。ノートパソコンの充電が終わるまでに風呂に入ることにする。特別な効能があるわけではないが、たまっていた汚れ、疲れを十分に落とすことができた。
宿では残念ながらPHSが圏外表示を差していたので、夕食と合わせて、宿に来る途中で通りかかった県道沿いの食堂に向かった。食堂まで片道20分。昼間は、確かに普通の食堂だったが、夜は、カラオケスナックと化していた。カラオケ客の端で、黙々と食事をしながらメールのチェックと、Webページの更新を行う。さいわい、食堂のお姉さんが、昼間訪れたことを覚えており、愛想よく対応してくれた。
宿に戻った頃には、23時をまわっていた。隣の団体客のいびきがうるさい。これならば、昨日までの野宿の方が断然ましだ。途中で買ったビール4本の力を借り、何とか寝ることにする。
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