5日目。城ケ島上陸2日目。6時起床。晴れ。
昨日の雨、風はかなり激しかった。テントの外を見ると、あと1メートル位の所まで2つの水たまりが迫っていた。危なく、床上浸水の一歩手前だったようだ。今夜もここにテントを張る場合のことを考え、テントの足の位置に、ビールの缶をナイフで切り取り、即席のマーキングをしておく。次回はもう少し、海より遠くに設営するためだ。
朝食を済ませ少し横になる。城ケ島では3日間の 日程を組んでいるので、朝はゆっくりとスタートすることにする。昨夜は強風で、フライシートを固定しているペグが抜けないか気が気でなかった。しかし一晩明けて、日が出ると、風が強くても心地よさだけを感じる。朝と夜でこんなにも感じ方が変わるものなのか。
ノートパソコンのバッテリーが切れて2日目。そろそろ充電をして、電子メールのチェックとWebページの更新をしたい。電源の確保の方法は、今の所2案ある。一つは、食堂でコンセントを借りる方法である。もう一つは、公衆トイレのコンセントを借用する方法である。(実は昨日、トイレの清掃用具室ををチェックしておいた)食堂の案は、店が混んでなく、店主の気が良ければ可能であろう。公衆トイレの方は、気分的にちょっと避けたい。それに北海道の秘境の様な場所では無理そうだ。第一、野宿地に公衆トイレが有るのかさえもあやしい。今日は夕食に食堂を利用し、店主にお願いしてみよう。
移動までに時間が有るので、現在行っている旅の記録方法について説明してみる。
常時手元にはB5サイズの大学ノートを用意し、状況、感想をメモ程度に書いている。他にノートには、レシートが無いような買い物をした時の金額、運賃を記録している。 ノートのメモの文書化は、HEWLETT PACKARD製のPalmtop PC 200LX(通称「HP200LX」)で行っている。この手のひらサイズのPCは重量250g、単三電池で20時間稼働する、野宿には最適なパソコンだ。電子メール送受信等、高度なことはできないが、ロウソクの明かりの下でもプチプチと親指で文章をまとめることができる。ノートパソコンには、テレホンカード大のPCカードを用いて文章データを転送する。また写真撮影は、首からぶら下げたデジタルカメラで行い、これもPCカード経由でデータをノートパソコンのハードディスクに整理し、保存する。デジタルカメラは、データカード1枚に高解像度の写真を120枚程撮影可能である。一日に50枚程度撮影するので、ハードディスクの使用容量もかなりの量になる。
データがそろった所で実際のWebページの作成である。
- 文書データを校正し、Webページ作成用のソフトに流し込む。
- Webページに張り付ける写真データを選別し、画像修正ソフトで高解像度データを縮小化する。
- 写真データを適宜、文章の間に挿入する。
- PHSをデータ通信カード経由でノートパソコンに接続する。
- Webページ用のサーバーに接続し、ノートパソコンの データを転送する。
- 自分のWebページをWebブラウザで閲覧し、正常に転送できたことを確認する。
以上が、現在のWebページの作成手順である。これがベストかはわからないが、手持ちの機材を有効に使っていることは自負できる。 結果、旅の記録は今の所、すべてホームページにあると考えてもらって構わない。今後も可能な限り、リアルタイムにWebページを更新するつもりだ。
10時。テントをたたみ始めるが風が強く、ひとつ片付けては、ひとつ飛ばされを繰り返し、15分もかかってしまった。途中、城ケ島ユースホステルを見学していく。インド人らしき団体が宿泊しているようだ。強い風の中で、何やら大段幕を張りたいようだ。数名の大人達が苦心して幕を降ろしている。
バスでの移動を予定していたが、変更し、徒歩で西の海岸に移動することとした。11時頃、島の中央部「観光船発着場」を過ぎ、例のコンビニエンスストアでビールと、100円ライターを購入する。ロウソクと同様、ライターの減りも予想以上に早く、残りわずかになっていたところだった。尻のポケットに入れておいたので、いつの間にかガスのスイッチが押されていたのかもしれない。空腹状態でビール2本を平らげ、ほろ酔い気分で西へ進む。
灯台入り口前には、江ノ島と同じ様な商店の風景、呼び込みが続く。三浦ではマグロが名物だが、定食で3千円では、とても入ることができない。 さらに西へ進み、海岸「長津呂崎」、「城ケ島灯台」にたどり着く。ここは岩場のみで、やはり野宿できる場所では無さそうだ。家族連れと、釣り客が多く、皆楽しく時間を過ごしているようであった。ここで、12時。海岸の岩場に腰を下ろし、残り少なくなったデジタルカメラのメモリーカードを交換する。天気はよいが、あまり日差しは強くなく、居心地がよい。
南の海岸づたいに、元の城ヶ島公園を目指すこととした。途中、「馬の背洞門」の近くに別のキャンパーを見つけた。2~3人用のテントだ。タープ(テントの前に張る日除け)を張り本格的なキャンプをしている。近くに多少の芝生もあるので、野宿地の候補とする。 その後、うまい具合に元の城ヶ島公園までのルートを見つけ、海岸を一周して公園にたどり着いた。結局、昨日迷子になった道に続いていた様だ。
電源の確保の件があるので、バスの駐車場前の、昨日利用した食堂に入った。さっそくコンセントを使用したいと告げるが、即答で「ダメです」とつれない返事が返ってきた。並びにもう一件食堂があったが、そこも同様の返事だった。自然よりも、人の方が厳しい・・・
16時まで日陰で休憩する。途中、車のガラスに映る自分の姿に驚く。顔は真っ赤に日焼けし、髪もボサボサ。多分、体臭もひどいことになっているのだろう。とても清潔とは言いがたい。
その後、先ほどコンセントの利用を断られた食堂で、世間話をしながら食事をする。食事後、程よい時間になっていたので、ビールと、小腹がすいた時用の菓子パンを買いに、例のコンビニへ行く。会計の際に「何かの調査ですか」と聞かれ思わず吹き出してしまう。確かに格好は、ジーパンに厚手のフリース、首からはデジタルカメラを下げ、手には地図と、大学ノート。背中には大きなバックパック。「野生動物の調査をしています」、と言ってもばれなかっただろう。すっかり、3度目の買い物で店主に顔を覚えられてしまった。
野宿は結局、昨日と同じ安房崎にした。相変わらず海岸は風が強い。今朝のマーキングを目印に、海から少し遠い位置にテントを設営した。ペグはフライを飛ばされないように、気持ち強めに打った。強風でロウソクがすぐに吹き消される。100円ライターで点火する。これを何度か繰り返すが、きりがないので途中であきらめ、早めに就寝することにする。
野宿も4日目となると、自分流のスタイルが出来てくる。テントの設営から始まり、テント内の道具の位置、使い方、就寝、起床のタイミング等である。しかしまだ、幸か不幸か、移動中、テント撤収中には、悪天候には遭遇していない。まだまだ、大自然を体験しているとはいいがたいところである。いったん悪天候になれば、今までで築き上げてきたスタイルもあっという間に壊されるかもしれない。
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