<9日目、2000年6月9日> 礼文島3日目・愛とロマンの8時間コース

北海道の旅 2000年
礼文島 愛とロマンの8時間コース
礼文島 桃岩荘ユースホステルの「愛とロマンの8時間コース」
桃岩荘ユースホステルの「愛とロマンの8時間コース」

 昨晩のミーティングの後「愛とロマンの8時間コース」の募集があった。8時間コースは礼文島の全長35kmを約8時間かけて徒歩で縦断するものだ。コースの名前の由来は、厳しい行程の中、皆が励まし助け合う中で友情や愛情が芽生えることから付いた名前だという。最近の何度かの数kmのバックパックをかついだ徒歩移動で、歩くことには多少の自信がついていた。少し考えた後申し込む。今回の集まったメンバーは男性は自分を含め2人、女性1の合計3人のみであった。通常は10人程度のグループになるという。3人だけというのはかなり少ないらしい。

 ミーティング後に明日の8時間コースの説明を受ける。リーダーの選定とコース詳細の説明が行われた。桃岩荘ユースホステル(YH)は礼文島の南端に位置するが、朝一番のバスで日本最北限の岬「スコトン岬」まで行きそこがスタート地点となる。そこからは途中3回の定期連絡を入れるのみで、あとは自力で桃岩荘YHまで歩くことになる。

 朝5時10分起床(桃岩荘時間)。インスタントラーメンと魚肉ソーセージの簡単な食事をし6時10分(桃岩荘時間)YHをヘルパーが運転するミニバンで出発。10分ほどでフェリーターミナルに到着し「スコトン」行きのバスに乗り込む。約1時間でスコトン岬に到着。バスを降りると強い風が行く手を遮る。気温は8度、風速は5m程度あったという。スコトン岬を少し見学し、7時20(日本標準時間)スコトン出発。まずは山登りから始まる。強風で歩きにくいが林道や海岸の景色が美しくあまり苦にならない。

 山をいくつか越えたところで歩くペースが次第に落ちてきた。朝食をしっかりととっていなかったのが、まずかったのだろう。一番最後尾をなんとか皆に付いていく。今回このグループのリーダーとなった「次郎さん」は8時間コースのベテランだ。もう20回以上もこのコースを経験しているという。コースにはもちろん多くの高山植物が咲いているが、次郎さんはコース外の脇道も熟知しており珍しい花をいろいろと紹介してくれる。また自分や他のメンバーの体調にも細かく気を使ってくれ、この後何度も助けられた。もう一人のメンバーは昨日自作の歌を聞かせてくれた女性「あやのさん」だ。彼女もかなりタフで決して弱音をはかない。後に彼女には得意の歌や励ましの言葉をもらうことになる。

朝一番のバスで「スコトン」に向かう
日本最北限の地「スコトン岬」
強い風の中、先を急ぐ
山登り、下りを数回繰り返す
自然が作り出した風景に圧倒される

コースはバラエティーに富んでいる。山、谷、海岸、岩場、林道、けもの道。看板の案内と次郎さんの誘導によってどんどん前進していく。11時を過ぎたところで風に続き雨も降り出す。

 12時昼食。お弁当はYHが用意してくれたものだ。わずかな量だがこの弁当でかなりスタミナを回復することができた。やっと後半戦に入る。途中足がもつれ転がること数回。さいわい大きな怪我はしないが、足腰の節々が痛い。全身も既に泥だらけだ。後半は休憩を減らし、なるべく体を動かす様にする。風が強いので休憩すると濡れた衣服、汗のせいですぐに体が冷えるためだ。お互い励ましあいながらゴールを目指す。

 途中高山植物「レブンアツモリソウ」、「レブンウスユキソウ(エーデルワイス)」を見ることができた。この花を同時に見れる季節はかなり短いという。残念ながら雨風のせいでデジタルカメラが結露で動かなくなり、全ての花を写真に収めることは出来なかった。

海岸もコースの一部だ
昼食の手作り弁当でスタミナを回復する
途中には高山植物が多く見られた

 ゴールの桃岩荘YH付近で最後の定期連絡の電話を入れる。この電話を入れることによりヘルパーが時間を見計らってYHの外で完歩歓迎の踊りを始めるらしい。

 やっとYHが見えてきた。さすがに雨降りなので今日は屋根の上ではなく下で踊っている。それでも土砂降りの雨の中、5人のヘルパーが自分たちと同じように濡れながら迎えてくれるのは大変感動するものだ。17時(日本標準時間)到着。雨風の悪天候の中、約11時間掛けて8時間コースを完歩する事が出来た。皆、達成感と充実感に満足する。8時間コースの経験はこの旅の中でも特に感動した出来事の一つとなった。

11時間をかけて、8時間コースを完歩する

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